代表あいさつ

代表理事 岡本 裕明 

 刑事司法について考える法律家の会の共同代表理事を務めております、弁護士の岡本裕明と申します。私は、元検事が代表を務める弁護士事務所で弁護士としてのキャリアをスタートさせ、現在に至るまで、刑事事件を中心に弁護士業務に従事してきました。
 また、私は、アメリカ合衆国のオハイオ州で学生時代を過ごしてきたこともあり、外国籍の被疑者・被告人の事件の弁護人として数多く選任されて参りました。
 ですから、我が国の刑事事件の手続を、海外の方に説明する機会も多く経験してきたのですが、皆様、一様に、我が国の刑事司法の在り方の不合理さに驚かれます。

 実際に、我が国の刑事司法は、以前から極めて時代遅れなものだと批判されてきました。最近でも、カルロス・ゴーン元日産自動車会長にかかる金融商品取引法違反被告事件を契機に、国連の恣意的拘禁作業部会から、ゴーン氏に対する勾留は、恣意的な拘禁にあたるという意見が述べられております。
 このような被疑者・被告人に対する長期勾留は、これまでも一部で「人質司法」などと称されていたところですが、ゴーン事件をきっかけに新聞報道などでも見かけられる一般的な言葉となりました。

 他方で、このような被疑者・被告人に対する問題だけでなく、我が国の刑事司法は、犯罪被害者に対しても不当な負担を強いるものとなっています。
 過度に繰り返される事情聴取によって著しく大きな精神的負担を強いる捜査手続に加えて、犯罪被害者を支援するための給付金も極めて低廉な金額となっています。

 私達は政治家ではありませんから、法制度そのものを直接変える力を持ちません。また、個別の事件における弁護人として活動するのには限界があります。
 そこで、我が国の刑事司法をあるべき姿に導けるように、単に現行制度を批判するのではなく、具体的な改善策を立案し、その内容を提言することができる組織として、本会を立ち上げました。

 私自身は若輩者ではありますが、経験・知識のある他の会員と共に議論をしながら、時には他の団体と協力しながら、我が国の刑事司法を変えていきたいと強く考えております。

 私達の活動内容については、適宜、このサイトにアップしていきたいと思いますので、是非ご覧になっていただければと思います。


代表理事 神谷 竜光

 刑事司法について考える法律家の会の共同代表理事を務めております、弁護士の神谷竜光と申します。

 私は、元々は刑事法、刑事司法に興味があり、検事志望でした。司法試験に合格し、司法修習を経た後、刑事法、刑事司法を考えるのであれば、研究者の方が良いのではないかと思い、弁護士登録をしながら、大学院に入学しました。ただ、最終的には、大学院を中退し、弁護士をしながら弁護士会などでの研究を経て、より具体的な研究、提言をしていきたいと考え、本会の立ち上げに至りました。

 私が刑事法、刑事司法に興味を持ったのは、人はなぜ犯罪を行うのかという疑問からでした。そして、実際に実務家となってこの疑問が解けたかといえばそのようなことはなく、むしろ、法制度の点からは何も答えがないように感じるところでした。特に、弁護士業務として医療に関する案件に携わらせていただくことが多く、刑事事件についても医療や自然科学との連続性と断続性を強く感じさせられました。

 例えば、認知症高齢受刑者を刑務所に収容して、刑務作業をさせることにどのような意義があるのでしょうか。或いは、依存症に陥り犯罪行為を繰り返している人に対して、自由意思を強調して非難し、再犯防止を求めることに法制度として不足はないのでしょうか。犯罪の被害にあった人は、犯罪被害に対する救済を自分で実現しなければならないのでしょうか。

 このような疑問に対して現在の刑事司法からの一定の回答はありますが、それがより良い法制度であるのかは一歩立ち止まり検討する必要があると思います。

 本会では、このように現在の法制度を踏まえつつ、より良い法制度を具体的に提言していければと思います。

 私自身は、法律に携わる諸先輩方に比べるまでもなく、知識も経験も浅いです。ただ、だからこそ今の制度に疑問を持ち、他の会員との議論や、或いは先行く団体や諸先輩方と協力しながら、我が国の刑事司法を変えていきたいと強く考えております。

 私達の活動内容については、適宜、このサイトにアップしていきたいと思いますので、是非ご覧になっていただければと思います。