創作小説から考える刑事司法①

2024年2月6日

刑事司法手続の多くは、文書によって進められる。

もちろん、口頭主義、直接主義が刑事裁判の原則ではある。しかし、上級審まで考えると、文書が中心となっていることは多い。その意味で刑事司法の主役は、文書であるとも考えられる。

そしてその文書は、一般社会ではみることのない「書式」や「作法」に従って書かれている。

ニュースで、”捜査機関によってつくられた調書であった”などと言われても、実際の調書がそのまま示されるということはほぼないであろう。

そのため、どのような書式でどのようなことが書かれているかを知るためには、創作事例を基に見ていくのが一番想像しやすいと思われる。

そこで、書式や作法の紹介も兼ねて、当会の創作小説を何回かの連載に分けてを掲載しようと思う。併せて、刑事司法に関する若干のコメントを当記事の中では言及したいと思う。

なお、以下の小説は完全なフィクションであり、実在の人物、団体、事件とは一切関係がない。